沖ノ鳥島は島か岩か? いつか本当の島に成長すると良いけれど・・・

台湾が沖ノ鳥島問題で海軍艦を派遣へ 馬英九政権の対日強硬姿勢に歯止めがかからなくなってきた…

中国や韓国だけではなく、台湾も言い始めましたね。「沖ノ鳥島は岩だから、排他的経済水域(EEZ)は存在しない。付近は公海だから、自由に漁業が出来るはずだ」という主張です。

一応、領海の方は認めてくれるみたいですが、EEZに比べて領海は狭いのでEEZが認められなくなると厄介です。既に日本のEEZ内で違法操業している海外の船が出てきていますが、これは合法的に取り締まることができます。

しかし、EEZの指定から外れると、沖ノ鳥島付近で漁業をする船舶を日本は取り締まることができません。また、大陸棚の関係で海洋資源の採掘も難しくなるでしょう。

ちょっとおさらいをしてみましょう。Wikipediaなどを軽く見ただけですが、「国連海洋法条約」の121条と60条がこの問題のポイントになるみたいです。

いわく、

第121条 第1項:島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるものをいう。

第121条 第3項:人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。

第60条 第8項:人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しない。これらのものは、それ自体の領海を有せず、また、その存在は、領海、排他的経済水域又は大陸棚の境界画定に影響を及ぼすものではない。

沖ノ鳥島に関して、「沖の鳥島は常に水面に出ている」ため、121条1項は当てはまります。

しかし、「沖ノ鳥島に人は住めない」ですし「経済的生活も維持できない」ので、121条3項から「岩である沖ノ鳥島にEEZや大陸棚は存在しない」ということになります。

さらに、沖ノ鳥島は周囲を人工施設で補強してありますが、これらの施設の部分に関しては島として認められません。そのため、60条8項から、「岩を補強しただけの沖ノ鳥島はEEZをもたない」というわけです。

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(沖ノ鳥島_www.47news.jpより)

ここで感情的にならずに冷静に考えると、「なるほど一理ある」と思うでしょう。

ところが、一点だけ盲点があります。「満潮時に海面から出ていれば島」というのが121条1項に書いてありますので、見た感じそれが岩であっても、満潮時に海面から出ていれば島なのです。

さらに、岩とは何かについて定義がないため、「島の定義に当てはまり、岩の定義が不明な以上、島という他ない」というのが日本政府の主張なわけです。

沖ノ鳥島を実際に見てしまうとなんとも苦しい主張ですが、遠くから見るとなんだか島っぽくなります。

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(沖ノ鳥島の遠景)

実際に島として認められているのは、中央にある岩のように見える物体だけです。

海面が上昇すればいずれ沈んでしまいそうです。しかし、実は政府はサンゴ礁などを大量に育て、サンゴ礁が砕け散って砂になったものを集め、「自然の力を駆使して島にしよう」としています。

さらに、沖ノ鳥島周辺で各種設備を作り、「人が住んで経済活動を営めるようにする」というチャレンジも進んでいます。

何十年も掛かりそうな遠大な計画ですが、今のままでは島と呼ぶのは難しいかもしれませんね。

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