子供の価値とメリットと要らない理由、一人で生きていけるほど便利な社会

子供が要らないという夫婦や独身男性が増えているらしい。

子どもを持ちたくない男急増中、仕事は放棄できるけど育児は…」記事の内容はあくまで「一部の男性」や「一部の夫婦」の話であって、反対意見が全く取り上げられないところから少し恣意的な感じもするのだが、それは大きな問題ではない。

実際に少子化が進んでいて、「子供が要らない」という判断をする大人達は増えている。私自身は子供が好きで機会があれば欲しいと思うが、「子供を作るのはデメリットが多すぎる」と考えている側の1人。そんな1人の男性としての立場から、「子供が要らない」という考え方について見ていきたい。


子供をメリット・デメリットで考えてしまう

子供に対して何らかの「メリット」を求める時点で根本的に間違っているのだが、男性に限らず多くの人間が「子供はお金がかかる」「時間がなくなる」「自分の人生が変わってしまう」と考え、デメリットが多いと言って作るのを嫌がってしまう。

実際、子供を作った人の中でも「子育てにうんざり」している人は少なくない。

ただし、これは体感でしかないのだが、「自分の子供が嫌い」だとか「子供を作ったのは失敗だった」と考える人は何だかんだで少数派のように思われる。一時的な疲れやストレスでそう思うことはあっても、本当に短期的なものなのではないだろうか?

多くの親が「やっぱり子供は可愛い」と口をそろえて言う。

子供のいない人間からすると「騙されているんじゃないか?」という気分だが、彼らにとっては、子供から得られるものと子供に費やすものを比較して「得られるもの」が上回っているように思われる。

その逆に、「子供は要らなかった」というのは少数派だ。単に言えないだけかもしれないが、相応の事件や強い信念がない限りこの言葉は出てこない。おそらく、何らかの形で「子供のせいで人生が大きく狂った人」なのだろう。夢や目標に向かって努力するタイプの人間が、夢や目標を「子供絡み」に切り替えられずにいるとこんな結論になってしまう。

また、子供に本当に価値があったとしても、子供を持たない人間にとっては意味がない。

当たり前のことだが、人間にとって一番可愛いのは「自分の子供」だ。残念ながら、「他人の子供」を見ても子供の本質的な価値は分からない。子供の持つメリットの比重がその「自分の」という部分にかかっている以上、子供を持った事がない人が「メリット・デメリット」で子供必要性を語ることは難しいのかもしれない。


子供のメリットって何?

そういうわけで、子供のメリットについて語るのを止めたいところだが、「子供を持たない奴には分からない」と子供を持たない奴が語っても説得力は皆無だ。なんといっても単に「考察しているだけ」なのだ。そこで、もっともっと深掘りしていく。

まず、「可愛い」ってなんぞ。という話になる。子供嫌いな人間からすると、「騒がしい」「制御不能」「金食い虫」と嫌な事ばかりが頭に浮かび、可愛いなんて思えないかもしれない。

かなり不謹慎な表現だが、「ポケモン」や「たまごっち」のような「育成ゲーム」をイメージすると良いだろう。生まれた瞬間から世話をしていると不思議と愛着が湧いてくる。他にも、「オンラインゲームのアバター」や「カスタマイズできるプレイヤーキャラ」と例えても良いだろう。しかも、完全に同じものは存在しない。貴方だけのアバターだ。

思うように育たないし苦労はするが、往々にして苦労した方が何らかの成果が得られた時の喜びが大きいもの。簡単に手に入る「可愛い子供」がいたとしても、自分で育てた「ブサイクな子供」の方が可愛いかもしれない。

ここで、可愛い可愛くないではなく、もう少し現実的な話をしよう。

「労働力」「老後の世話」という面で見ると、子供の立場は変わってくる。

「労働力」については子供を働かせる環境にない日本ではイメージするのが難しいが、「老後の世話」については分かりやすい。退職後に収入が減り、体が思うように動かなくなかった時に子供が助けてくれると非常に助かる。

良い意味でも悪い意味でも、老後のあらゆるトラブル解決に子供が介入してくれる。彼らは年老いた自分よりも行動力があり、現代の社会システムに精通していて、場合によっては財力もある。そんな存在が無償で助けてくれるのだ。子供と友好な関係を築けているかにもよるが、そのメリットは計り知れない。


お一人様に優しすぎる社会になった

子供は可愛くて、老後の助けになる。

なるほど一理ある。ところが、現代社会ではそのメリットが薄らいでしまった

顧客目線の名の下にあらゆる高齢者向けの便利サービスが登場しているし、ペットやゲーム、果てはロボットまでが「子供の代替物」として気軽に利用できるようになってしまった。

もちろん、完全な代替物ではない。サービスはあくまでサービスでありお金はかかるし、なんでもやってくれるわけではない。ペットやロボットだって、子供の代わりにはならないだろう。

けれども、ちょっとした身体的な不自由を補助したり、ちょっとした寂しさを和らげるだけなら十分だ。むしろその手軽さを考えれば、リターンは少なくともリスクも少ない、ローリスクローリターンな環境が出来上がっていると言える。

そしてここが一番重要なのだが、「子供の存在」を超える「生き方の多様性」が許容されるようになったことだ。

趣味が多様化し、仕事をしながら趣味に没頭する人は少なくない。場合によっては人生の全てをその趣味に費やしても良いという人は増えている。その趣味を超える価値が子供にあるのかと問われて、「ある」と答えられる人間が少なくなったのだ。

また、働き方も変わった。今までは会社や組織に所属して会社員や公務員として生きるのが当たり前だった。家庭を顧みず仕事に没頭する人は少なくなかったが、自由と変化の少ない中で得られる喜びや刺激を「子供」に求めるもの十分に理解できる社会だった。しかし、ノマドや起業を含めて働き方の選択肢は増え、「自由な人生」と「仕事」を両立させることが可能になった

ある程度の収入があれば老後は金にものを言わせてどうにも出来るし、寂しさも自由な人生や趣味に比べれば辛くない。

これが正解かどうかは横に置いておいても、そう考えることが出来る社会になったのだ。


多様化する社会の中で子供の価値を見直す事

既にここまで読んで分かっている方もいると思うが、子供の価値を「可愛い」とか「老後のため」という視点で語る事そのものが時代遅れになっている。

ここから脱却しないかぎり、少子化はともかく「子供を持ちたい」と思う人間が増えることはないと思う。

保育園や子ども手当などで子供の育成にかかるコストを減らし、デメリットを最小限にする事も大切だが、「子供を育てる」という事がどんな意味を持つのか、ということを理解させることが大切だ。

少し抽象的な表現だが、子供によって与えられる「人間的成長」や「人生の充実」あたりの、かなり曖昧な部分を具体的にイメージ出来るようにならなければ、「自分の人生における子供の価値」は分からないはずだ。

これは「子供の可愛さ」とは違う部分であり、子供を持っても漠然と育てているとわからないままで終わる人も非常に多い。

どういうことかというと、「子供の存在から自分の社会における立場や姿勢」を考えなおしてみたり、「子供を含めた人生のあり方」について真剣に思いを馳せてみたりといった、「子供からの学び」や「ある種の人間的進歩」の話だ。

正直、その人のそれまでの人生によって子供から学ぶことは変わってくる。人間関係のあり方であったり、苦労の価値であったり、成長の大切さであったり、本当にバラバラだ。しかし、必ず何か学ぶことはある。

このことから、私は子供の価値について間違いなく言える事がある。

それは子供を持ち、育てると、どんな人間であれ「多かれ少なかれ成長する」ということ。

もちろんあんまり成長しない人もいるが、親になった途端に急成長する人間は多い。

私自身も親になった知人や友人を見ると、「成長したな」と感じることが多い。そしてちゃんと話してみると、ほぼ間違いなく何らかの成長を実感する。


自分の未来を真剣に考えさせてくれる存在

何故、子供を持つと成長するのかという話になるが、一言で言えば「考えるべき事が増える」ということ。

子供は自分では何も出来ない。その全てに置いて、親が責任を負う。部下を持った上司にも言える事だが、責任を持つことで視野が広がり、モチベーションが上がり、成長するというのはままある。立場が人を成長させるというアレだ。

けれども、やはり一番大きいのが「自分の未来について考えるようになる」からというのが大きいように思う。

自分の未来というのは子供の未来も含んでいる。親になるような人間の身体的な成長や精神的な成長は鈍化しており、成長を自覚することは稀だ。むしろ、老いを自覚することの方が増えるかもしれない。

そんな中で、猛スピードで成長する子供の存在は強い刺激になる。

間違いなく、「子供が成長した先」について考えるし、自ずと「成長した子供と自分」についても頭に入れるようになるだろう。すると、子供がいなかった時には考えなかった未来に思いを馳せるようになる。

もしかすると、それは自分が思っていたものとは違う暗い未来かもしれないし、明るい未来かもしれない。だが、その未来は成長する子供と共に強い現実感を伴って必ずやってくる。

そんな未来の存在は大きい。誰よりも真剣に考えるし、誰よりも真剣に悩むだろう。その苦労が自身を成長させることになり、その成長が人生を充実させるものになる

成長の道具にするという考え方だけで子供を作るのは危険だが、メリット・デメリットを語るつもりなら忘れてはいけない部分だ。

子供を簡単に「可愛い」とか「老後のため」と括るのではなく、本当の意味での「豊かな人生」を歩むための存在だと考えられるようになると、子供が欲しいと思えるようになるのではないだろうか。

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