※2017/7/11に新しく発表された「ピタットプラン」「フラットプラン」についてはこちらに比較記事を掲載しました。
今使っているスマホがどうにも古くなってきたので買い替えを検討してauの料金プランをチェックしてみたところ、どうにも不思議な料金システムになっていることが分かった。
ちなみに、今回チェックしたのはAndroid向けの料金プランなので、iPhoneの方は少し違うかもしれません。
2016年11月現在、auの4GLTEのスマホでは3種類の基本料金プランが存在する。それが「スーパーカケホ」「カケホ」「LTEプラン」だ。
「スーパーカケホ」は月額1700円(誰でも割)で、1度に5分以内の通話であれば無料のサービス。
「カケホ」は月額2700円(誰でも割)で、通話が完全に無料になるサービス。
「LTEプラン」は月額934円(誰でも割)で、auの携帯電話以外にかけると「20円/30秒」の通話料がかかる。
建前上は「LTEプランは通話しない人向け」で「通話する人がカケホを選ぶ」ということになっているが、実は基本料金プランに合わせて決められるデータ通信量のサービスに大きな違いがある。
「LTEプラン」で選べるデータ通信サービスは、「容量7GB」の月額5700円の「LTEフラット」のみ。
それに対して、「カケホ」系ではでデータ量が選べる「データ定額」になっている。
「LTEプラン」でも「データ定額」を選べれば良いのだが、LTEプランだとデータ通信量が固定だ。もちろん、どちらも月額容量を超えて使っても通信速度が制限されるだけで通信ができないわけじゃない。
ちなみに、データ定額のプランは以下の通り。
(データ定額の料金表―auホームページより2016/11/11時点)
特筆すべきは「データ定額」にはより安価な定額プランが用意されているという点。auの意図としては「電話料金を多く払う人はデータ通信量を安くする」が、「電話をしない人はデータ通信量を一定額払え」ということだろう。
ところが、「スーパーデジラ」と呼ばれる容量が20GBを超える「データ定額20/30」まで用意された。実質的にデータ定額8以上は無意味なサービス(契約時には選べなくなっている)になる。さらに、オプションサービスである「データくりこし」や「テザリング」を含めるとLTEフラットの立場は危うい。
(データくりこしの対象プラン-auホームページより2016/11/11時点)
「データくりこし」は余った容量が翌月に繰り越されるサービスだが、どういうわけかスマホ向け「LTEフラット」にはついていない。よく見ると「LTEフラット for Tab」や「LTEフラット for DATA」というものがあるが、タブレットやPCで使うためのもので、スマホ向けに提供されている「LTEフラット」とは別物だ。
ちなみに、注意するべき点がもう一つ。
「データくりこし」には「データチャージ」の加入が必要だということ。「データチャージ」は必要な時にデータ容量を追加できる有料課金サービスなのだが、加入だけなら「無料」なのに任意の加入になっている。そのため、何も知らずに使っている人は繰り越されない。
また、そもそも「データくりこし」が利用できるのは「データ定額」を使える「カケホ」系の料金プランだけなので、「LTEプラン」の人には無関係だ。
次に「テザリング」だが・・・
(テザリングの料金プラン-auホームページより2016/11/11時点)
実は「データ定額1-13」まではテザリングの利用料が無料となっている。
その一方で、「LTEフラット」は500円の利用料がかかる。割安と思われていた「データ定額20/30」も、テザリング料金を踏まえるとそれなりの料金になりそうだ。
ここまでの状況を要約すると以下のようになる。
<LTEフラット>
・「LTEプラン」: 934円
・月額料金: 5700円
・テザリング使用料: 500円
・容量: 7GB
・データくりこし: 「なし」
<データ定額20>
・「スーパーカケホ」: 1700円
・月額料金: 6000円
・テザリング使用料: 1000円
・容量: 20GB
・データくりこし「あり」
テザリング料金を含めると、「データ定額20」が1500円前後高い代わりにデータ容量が20GBという結果になった。テザリングをしないのであれば差額は1000円。通話も無料なので「LTEフラット」を選ぶメリットは薄い。
また、より安価なデータ定額5で計算してみる。
<データ定額5>
・「スーパーカケホ」: 1700円
・月額料金: 5000円
・テザリング使用料: 無料
・容量: 5GB
・データくりこし: 「あり」
この場合、「データ定額5」の方は月額料金が400円程安くなる。
とは言えデータ容量の差が2GBもあるので、数字だけを見ると「LTEフラット」も悪くない。
しかし、ここで問題になるのが「データくりこし」の有無。先月までに3GB以上使っていないのであれば2GBは繰り越されているので7GBは普通に使える。場合によっては10GB使える可能性もある。出張の時にはデータ通信を大量に行うものの普段は3GB以下に抑えているというユーザーなら、「データ定額5」の方がメリットは大きい。
ここまでの結果をまとめると、
「常にデータ通信量の多いユーザーは『スーパーカケホ』+『データ定額20以上』がお得」
「時々データ通信量が多くなるユーザーは『スーパーカケホ』+『データ定額5以下』がお得」
「データ通信量が毎月5GB前後で推移する通話をしないユーザーは『LTEプラン(LTEフラット)』がお得」
ということになる。
ちなみに、通話もしない上にデータ通信量も常に少ないユーザーはauではなく「格安スマホ」を使うのがお得なのは言うまでもない。
正直なところ、通話をしないというだけでは「LTEプラン(フラット)」を選ぶ理由にはならないと感じている。
「スーパーカケホ」と「LTEプラン」の差額は僅かに800円前後であり、テザリング料金も含めると差額は300円。こうなると8分の電話で料金が逆転してしまう。結局、ヘビーユーザーなら「データ定額20以上」を使えば良いわけだし、ライトユーザーなら「データ定額5以下」を選べば良い。
おそらく「通話はしない」と言い張るユーザーや既存ユーザーのために「LTEプラン」を残しているだろうが、他者に対抗して新しく作った「データ定額」のせいで「LTEフラット」が完全に旧世代の遺物になってしまった。せめてもう1段階安価なデータプランを用意しないとLTEプランの存在意義がない。
店員もLTEプランはあまり勧めないとは思うが、流石に気になったので記事にした。
auの料金プランを決める助けになれば幸いだ。