ソイレントという「栄養機能食品」をご存知だろうか? これは人間が生きていくために必要なあらゆる栄養素が含まれているという食べ物で、これだけあれば人間は生きていられるということ。カロリーメイトの最強版ぐらいに考えても良いかもしれない。
2013年に開発されて以来、実際にこれだけを食べて生活している人もいるようで、本当に完全な栄養食品として機能しているらしい。しかし、「これだけを食べて生きていける」からと言って、それが健康的だとは限らない。別に肉だけを食べていても生きていけるのだ。そこで、ソイレントと栄養について少し考えてみたい。
ソイレントとは?
ソイレントとは、5大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)を含め、35種類の様々な必須栄養素を詰め込んだ食品、もとい飲み物だ。
(Soylent_soylent.com)
見た目は牛乳のよう。これは去年発売されたボトルタイプのもの。日本でも水に溶かして飲む粉末タイプのものが輸入販売を行っているショップで購入出来る。
少しドロドロとしていて、味は微妙でさほど美味しくないらしいが、完全食なのでその辺はご愛嬌。そのうち改良されるかもしれない。
本当に必要な栄養が入っているのか?
栄養素についてはこちらを見て欲しい。英文だが、ソイレントに含まれている栄養素が記載されている。
”Daily Value”については、「米国医学研究所」「アメリカ食品医薬品局(FDA)」の情報を参考にしているらしい。FDAについては日本の厚生労働省に当たる機関であり、信頼性は非常に高い。
確かに、これを毎日4食飲んでいれば必要な栄養は取れそうだ。
ただ、これはあくまで「必要最低限」の栄養素だということは理解しておいた方が良いだろう。何らかの疾患を患っていたり、肉体労働やスポーツなどの特殊な生活をしていたら必要な栄養素は変わってくるはずだ。
正直なところ、「本当に必要な量」には個人差がある。もちろん、これを飲んでいれば栄養自体は十分なはずだが、その人が持つパフォーマンスを100%発揮できるかという点には疑問が残る。
ソイレント食は偏食の内に含まれる?
同じ食事ばかり食べているというと、それはそれで「偏食」のように思われる。ソイレントだけで生活するのは偏食とはいえないのだろうか?
偏食というのは偏った食生活ということだが、これは必ずしも「必要な栄養が取れていない」ということは意味していない。単純に一日に必要な栄養素を取れていても、その中で多すぎる栄養素がある場合は偏食という扱いになる。
つまり、必要な栄養が取れていて、多すぎる栄養素がなければそれは偏食ではないということ。おそらく、偏食という言葉を狭義的に「栄養素」という観点から捉えてみると、ソイレントは偏食ではなく紛れも無い完全食だ。
しかし、ソイレントには「ただ栄養素だけを取れば良いということではない」という批判も多く、あくまで補助的に飲用するのが良いという意見がまだまだ主流。
そもそも、偏食が批判されるのは「栄養素が偏るから」だけではない。偏食が問題になるのは、栄養素ではなく「栄養源が偏るから」だ。
同じ量の栄養素が含まれていても、それがどれくらい吸収されるかは栄養源や調理の方法によっても変化する。また、栄養素の働きについても解明されていない部分も多く、リスク分散という意味で幅広く食事をするべきだと考える専門家も多い。
そういった広義の意味で考えてみると、常に同じ栄養源で栄養を摂取するソイレント食は偏食と言えるかもしれない。
栄養補助食品は「補助」として使うのが一番
大した結論ではないのだが、結局のところ補助的に使うのが一番だ。
「仕事で忙しくてしっかり食べ物を食べられない時にサプリメントの代わりにソイレントを摂取する」
そんな食べ方であれば何の問題もないだろう。それどころか、サプリメント以上の効果を発揮してくれるはずだ。元々、ソイレントは「サプリメントを砕いてまとめて作られていた」もので、サプリメントの一種だった。
ソイレントは固形の粒のサプリメントとは違い吸収しやすい液状になっていて、完全食として全ての栄養が入っている。
つまり、「完璧な食品」ではなく、「完璧なサプリメント」と考えるのがソイレントの正しい捉え方なのかもしれない。
まだまだ日本で気軽に買えるようにはなっていないが、おそらく一家に数本はストックしておきたいサプリメントだろう。