こんな記事を見つけた。
地球環境の「債務国」か「債権国」かが可視化されたマップ「Global Footprint Network」
国ごとに環境に与えた影響が一目でわかる。日本が深刻な債務国となっているのは明らかだ。
Global Footprint Networkってなんぞや
これは環境破壊・二酸化炭素の排出などを「債務」と捉え、環境保全・森林規模(二酸化炭素の吸収)を「債権」とした考え方で作った世界地図。
債務が多い国は「債務国」となり、要するに環境に対して他国に借金をしている状態。一方、債権が多い「債権国」は他国に環境資源を貸しているような状態と言える。
要するに、環境に対して「良い影響を与えているなら債権国」で、「悪い影響を与えているなら債務国」という話だ。なるほど。確かに言葉だけを見ると分かりやすい。
結局、「使ったものは片付けろ」とか「汚したら綺麗にしろ」ということで、地球レベルで言えば日本が汚した環境をブラジル辺りが綺麗にしているという状態かもしれない。
ちなみに、これはあくまで森林資源がベースになっていて石油資源などのエネルギーは含んでいないらしい。
中国と日本を比べてみると・・・
まずは、中国と日本の債務・債権割合を比較してみよう。
下の図は左が債権割合で、右が債務割合。「債権割合の多い国」としては南米やアフリカなどの国々が並び、「債務割合の多い国」としてはシンガポールや日本など、アジアの国々がちらほら見える。
驚くべきは中国よりも日本の方が債務割合が高いということ。さすがに債権国側にはいないが、債務割合で言えば、英国以下の位置につけている。日本はなんと9位だ。
と言っても、統計マジックというかなんというか・・・これは単純に債務と債権の割合を計算したもの。「割合」で言えば、中国は広大な国土を持っていて自然資源は豊富。そのため、債務が莫大であっても債権も沢山持っているので債務割合は低くなる。
一方で、国土の割には人口の多い日本・韓国・シンガポールなどでは債務割合が高くなる。当然といえば当然なのだが、 実質的に債務割合が高くなってしまっているのも事実。実際に、環境負担削減のための国際会議などでは日本もこの点を指摘されている。
では、実際にどれほどの環境債務(負担)があるのかを見てみると・・・
中国がダントツで、アメリカやインドに続いて日本がいる。インドは人口の割には環境債務が低く、日本は米国に比べれば人口当たりではマシなようだ。
次は環境債権(自然資源)を見てみよう。
ブラジル・中国・アメリカがダントツだ。環境資源のランクで言えば日本は22位。低くは無いが、高いとも言えないだろう。
これからの環境保護は?
日本は昔に比べれば環境保全の努力は進んでいるが、まだまだ理想のラインには到達していない事がわかる。
理想を言えば、債務国ではなく債権国になりたいところだが、現実的に考えると難しいだろう。日本は国土も限られているし、環境資源を増やすことばかりに注力していると日本の強みである技術力や経済力に影響が出てしまう。
地球レベルの資源という目で見ると、可能な限り債務を減らしつつ債権国の環境資源を増やしていく事が重要になってくる。特に南米や南アフリカには豊富な環境資源(森林)があるし、東南アジアも見逃せない。
とは言え、ここでは二酸化炭素の排出量という点を中心に見ているために異論も出そうだ。
この統計データはともかくとしても、やはり「借りたものは返す」という意識は忘れてはいけない。日本は環境債務だけではなく国債も膨大なわけで、どうやって返せば良いのか見通しが全く立たない始末。
現実の人間で例えれば「ゴミを大量に貯め込んだ借金まみれの人間」なわけで、もはや救いようがないように思える。
債務は破産すればなくなるが、その負担は誰かが背負うことになる。
なんとかして、どこかしらでストップをかけないといけない。